技術士がみるスタジアムの問題点

20140508_083548_419いまこの本を読んでいます。

昨日はこの本の著者、国土問題研究会事務局長で技術士の中川学さんにお話を伺いました。

遊水機能をもつ土地を開発して巨大構造物を建設したり、周辺を住宅地にしたりするにあたり、どのような検証をすれば安全であることが確認できるのかをお聞きしたかったのですが、現在のところ、設計内容が不明なままであるため、答えが出せないとのことでした。

ピロティ方式の横浜スタジアムの例についてもお聞きしました。こちらは鶴見川の治水を流域ぐるみでやっているようです。上流が丘陵地で、そこで急激に開発が進んだため、丘陵地の一戸建ても、行政の補助で浸透マスを作ったとのことです。亀岡の場合、単純にスタジアムだけをピロティ方式か同等の効果を得られる工法をとったとしても、それだけで周辺の治水安全度を語ることはできません。

いずれにせよ、亀岡駅の北側に広がる農地を開発することについては、相当慎重にやらなければ周辺に浸水被害が発生するでしょう。

最初、盛土のための土は川底からとってくるような市の答弁でしたが、最近は高水敷からとってくる、と言われています。そのことをお伝えすると、

高水敷??そんなところから取ってきても意味がないでしょう。とおっしゃっていました。

しかし、まだ計画が明らかになっていませんので、実際のところ、どのようにするかわかりません。

現状は10年に1度の降雨に対応できる治水安全度であると言われていますが、雨は自然のものです。流域平均で300mmといっても、時間分布、地域分布を考えなければなりません。

量、地域、時間。そこで決まるのです。

量だけを決めても、地域、時間はさまざま。そして、最近の雨の特徴は、短時間、集中的です。(台風18号の際は、長時間、広域的降雨でした。京都全域で200mm以上降り、大河川は全て氾濫しました)10年に1度と言われて安心していられるわけではないのですね。

治水上の不安がある場所を開発して、もし浸水しても行政は責任を取りません。水害裁判をしても、勝てたためしがない。唯一、一部勝訴となったのは多摩川の決壊だそうです。

少しの見舞金や借り入れ助成はあっても、基本的には自己責任行政が損害を補償してくれるわけではありません。命や財産が危険に晒されそうになっていることについて、そこに住んでいる人たちが危機感をもって立ち上がらなければ、何も始まりません。

写真 3

中川さんの許可をいただいて、中川さんがスタジアムの問題点についてまとめたものを公開します。

亀岡サッカースタジアム計画の問題

 

10 comments

  1. アユモドキ より:

    「日産スタジアム方式」の採用も一案とのことですが、スタジアム直下の自然環境はどうなるのか、事業費(税負担)は大幅に増加、そしてそんな異様なものがあの場所にできることを想像すると、駅前の高層マンション、鉛筆のような市役所、テーマパークのようなスーパーなどなど、亀岡の景観はどうなってしまうのでしょうか。

  2. 酒井あきこ より:

    亀岡の景観を大切に思っている人からは心配の声をいただいています。
    また、ピロティ方式と比べると、事業費は大幅に上がるのではないかということでした。
    府がやってくれると言いますが、亀岡市民は京都府民でもあります。
    貯水スペースの水をポンプアップして排出するとすれば、そのポンプは10年ほどで更新が必要になりますし、いま見えていない費用はどんどん嵩んでくるのではないかと思います。
    それを検証しようにも、具体的中身がわからない・・・。そのまま、建設しようという方向性だけがある、というのでは非常に不安を感じます。
    任せておけば大丈夫、で済ませていいはずがありません。

  3. アミール・カーン より:

    行政の責任を問わない司法を拠りどころにして、市長以下、短期的利益のため、あまりにずさんな計画に邁進しているということが、中川さんのお話から、あらためて、よくわかりました。
    日本の官僚組織とそこに群がる一部受益者が一体となって国民を食い物にしているという原発と同じ構図がここにあります。
    台風で湖のようになったところに家を建てる人は、そのあまりに巨大な詐欺を見抜くことは、むずかしいでしょう。

  4. アユモドキ より:

    地下ピットや貯水槽の様な貯め物は、最大雨量が2回あるような雨の降り方をすると、1回目の雨で満水になり、2回目の雨は貯めることができません。検証するまでもなくアウトです。

    魚類学会が要望書を提出した時に、あるゼネコンから抗議のメールが学会にあったと聞きます。表向きは環境に貢献などとPRしながら、体質は何も変わっていないのでしょうね。

  5. おかもどき より:

    中川さんの指摘されている周辺地と下流域の治水安全度への影響は、昨年、スタンド地下に貯水槽を設置するなど、悪影響が生じないように整備するという京都府の考え方が新聞報道されていたと思います。そのとおりなら、中川さんの懸念は払拭されていると思います。何ら問題ないですよね。

    酒井さんの記事は、中川さんの指摘されていない部分、スタジアムや公園以外の住宅街などで浸透枡の設置などが、亀岡では進んでいないから、スタジアムの計画は問題があるというのが、記事の正しい読み方なんですよね?
    それって、遊水地にスタジアムを設置とは関係のない、別の話題ですよね。
    なんだかオカシイなと感じましたので。
    誤解でしたらすみません。

  6. 酒井あきこ より:

    おかもどきさん、コメントありがとうございます。
    中川さんのお話では、単にスタジアム部分だけを考えて治水安全度を語ることはできないということでした。安全・安心のまちづくりはスタジアムだけを考えていてはできません。
    狭義のスタジアム計画を云々しているのではなくて、スタジアムを中心とした亀岡のまちづくりのビジョンが非常に危ういものであるというのが私の投稿の趣旨です。
    駅北区画整理事業とスタジアムとの相乗効果、ということも市は言っていますが、視点をスタジアム中心にしてやるのではなく、市民生活を中心にしてしっかり考えてほしいと思っています。
    (スタジアムを建設するから一帯を公園にする、ということについても同じことが言えます)
    わかりにくかったらごめんなさい。
    これからもいろいろと疑問なことがありましたらコメントいただけると嬉しいです。

  7. おかもどき より:

    酒井さんは、スタジアム建設によって影響が生じる場合は、周辺地で浸透枡の設置などの対策をとって全体としてバランスがとらなければ危険なことになりますよ。というお話を聴いてこられたのですね
    つまり、スタジアムで影響が生じないように対策がとられれば問題ないと。

    その話を聴かれて、スタジアムとは直接関係無いかもしれないけども、亀岡全体の治水安全度を考えた場合、みんなの家で浸透枡を設置したり、駐車場をコンクリート張りから砂利や芝生に変えたりすることで、街全体の治水安全度は今よりも向上させることができますね。という意味なんですね。

    ありがとうございました。

    ちなみに、公園を作るのは、アユモドキを保護するため保護区を作ってやることが必要だからだと思うのですが、そこまでして護ってやる必要もないのですかね?

  8. 酒井あきこ より:

    公園にするのは、用地買収の費用に国庫1/3補助がつくからです。
    アユモドキの保全のため、というのは後付けです。
    スタジアムを建設してアユモドキを保全するか、建設せずに保全もしないか、という話になるのはおかしいですよね。開発と保全という矛盾することを無理にやろうとすれば、莫大な税金が必要になります。それでも保全がうまく行かなければ亀岡市の責任と言うことになってしまいます。
    専門家団体から、見過ごしにできないほど内容の乏しい保全策と言われている状態で進めては取り返しのつかないことになるでしょう。
    事前に専門家と相談して大丈夫となってからやり始めるのが普通、と京都府も言っていましたが、そういった準備もなしに自然と共生するスタジアムとして提案してしまったので無理が生じてきているのです。
    ちなみに、スタジアムで影響が生じないように対策がとられれば問題ない、という話ではありませんでしたよ。
    人口が増え続けていた時代の要請によって自然に逆らっても開発を進めなければならなかったということが過去にはあったかもしれません。しかし、現在は少子高齢化、人口減少の時代に入っていますので、無理な開発は避けるべきだと思います。税収も減り、扶助費が増大していくことが見込まれていますので、そのような中でも持続可能なまちづくりを考えていかなくてはなりません。
    スタジアムを誘致したことで突如としてつくることになったこの公園をこの先、亀岡市民が維持していけるか、どのように活用していくか、何の検証もされていません。
    市民に愛され、活用される公園にするためには、まず市民との合意形成が必要です。
    ファシリティマネジメントの取組も始まりますし、公共施設を縮減していく一方で新しいものをつくるというのであれば、十分な説明がなければなりません。

  9. おかもどき より:

    スタジアムは別として、アユモドキの保護区の土地を買うのに、補助金を貰えるようになるのは、別に悪いことではないように思いますが。

    酒井さんのおっしゃるとおり、治水安全度以外のところでは、これらの計画をどのように生かしていくかを考えていかなければならないのだと思います。

    記事からは、技術士として中川さんが無策でスタジアムを建設したら危険ですよと話をされたとしか受けとれませんでした。すみません。

    ありがとうございました。

  10. 酒井あきこ より:

    環境保全専門家会議では保全だけに限るのであればもっと有利な補助制度があるという意見があったとのことでした。なので、まずは目的をはっきりさせてから、手段をさまざまに検討したほうがいいように思います。

    中川さんのお話、また改めて全体を紹介するようにしますね。

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