視察:秦野市公共施設再配置計画

昨日、神奈川県秦野市公共施設再配置の取り組みを視察し秦野市公共施設再配置課志村高史さんのお話を伺ってきました。

志村さんとは昨年、名古屋大学で開催されたファシリティマネジメント短期教育コースを受講したとき以来、1年半ぶりの再会です。熱心で仕事に自信をもっていらっしゃる職員さんからお話を聞かせていただくことで、自分ももっと努力しようと元気が出ます。

秦野市との比較〜亀岡市編〜

個々の議員が質問するばかりでは一向に進む気配もありませんが、公共施設の老朽化については亀岡市も先送りしている余裕はない、切実な問題です。

今回は、総務文教常任委員会の視察で秦野市の取り組みを視察することになりました(私は別の委員会に所属していますが単独で参加させていただきました)議会としてこの問題を一緒に勉強できるようになったことを心強く思います。

議会では既に問題意識が共有され平成25年度亀岡市一般会計予算に対する附帯決議で、
「 施設管理においては、ファシリティマネージメントの導入を検討し、経営的な視点で全庁横断的に取り組み、業務も含めた施設管理の一元化をはかること。」
とされました。

私が平成24年3月議会で提案した時点では、まず把握、ということから入りましたが、把握すると必然的に施設全体を維持するためにいくらかかるのかが明らかになります。
更に、この少子高齢化・人口減少時代ですから、計画的な修繕によって長寿命化をはかるばかりでは、やはり財源が足りないのです。全てを維持しきれないので、総量を削減する必要があることに直面します。

志村さんが作成してくださった資料は亀岡市の状況を反映したものになっています。

秦野市の財源不足から試算すると、亀岡市の場合は40年間で231億円が不足、36.7%の削減(公共施設の面積)が必要とのことでした。なお、歳入に含まれている国・府支出金、地方債、基金残高を加味すると、必要な削減量は46.9%にもなります。

秦野市よりも更に深刻な状況にある亀岡市は、早急に老朽化問題への対策のための計画策定が必要ですし、そのための公共施設白書の作成が必要です。

各課が各別に管理しているものについてどこがイニシアティブを取ってこの作業に取りかかるかが問題ですが、委託によって作成すると800万円ほどかかります。市が独自に作成しても専任の職員人件費で同じぐらいのコストが必要になりますが、白書を作るだけでなく、それをもとに計画策定、実施という展開を考えると、委託よりは専任組織を設置し専従の職員が公共施設白書作成の段階から携わることが、重要だと思います。

新設か大規模改修には補助が出るが、計画的な維持修繕には補助が出ないため、財源がなく取り組みにくいという執行部の考え方ですが、まず現状を把握し、身の丈にあった公共施設保有量まで縮減することで、維持すべき公共施設の計画的修繕に必要な財源を生み出すことが可能になります。

さて、どうやってその第一歩である白書づくりを実現するか・・・

秦野市の公共施設再配置計画については昨年度の視察80件、出向いてお話しする機会が30件あったそうです。その都度、表紙だけを変えているのではなく相手に合わせて講演して下さっています。
なぜそこまでするのかというと、これがいかに敵の多いエネルギーの必要な仕事かということを身を以てご存知だからです。
執行部から取り組むのは勇気が必要な課題ですので、議会からの援護射撃をしてほしい、とのことでした。

掩護射撃・・・・?
執行部に提案してもなかなか受入れられないのですが、どうしたらいいでしょう。

と聞いたら、そういうケースは非常に珍しい、と不思議がっておられました。どうしてそうなるのですか?と逆に問われ、恥ずかしかったです。

亀岡は珍しいケースなんですね。普通は執行部が取り組みたくても取り組みにくいことを議会から言われたら力を得て進めていけるものですが、そういえば事業仕分けについての提案についても先日「やりません」と断言されました。

なぜでしょう?まったく想像がつきません。私は日帰りでしたが、総務文教常任委員会は本日も引き続き富士見市および構想日本で事業仕分けを視察していますので、どのような内容だったか教えていただけるのを楽しみにしています。

公共施設のあり方見直しは人気取りのできる政策ではありませんが、将来にツケを残さないためにも、市民に必要なサービスを維持するためにも必要なことです。市長が先頭に立って取り組み、現場の職員が攻撃されたときには市長が守るぐらいの姿勢であってほしいです。

秦野市には市民から応援の声が寄せられることもあるとのこと。必要性を十分に周知し、行革プランと総合計画、再配置計画3つともリンクしていて矛盾がない状態で進めていますので市民の理解も得られるのでしょう。

秦野市の市長は、選挙公約で新たな公共施設は作りませんと宣言して、この公共施設再配置を推進しています。取り組みを評価できる市民力がなければ、このような市長に活躍を続けていただくことができませんから、市民がしっかり支えていらっしゃるのだと思います。

ところで、秦野市役所の敷地内にコンビニがあります。観光協会も中に入っていて、秦野市のおみやげも販売されています。24時間365日役所のサービスも代行し、図書館の本の返却受付もしているこのコンビニからの賃料収入は年間1200万円。

市民サービスを向上させると同時に庁舎の定期的な維持修繕の財源を生み出しています。

お金がなければ、国や県のお金をあてにするのではなく自分たちで生み出す工夫をするという風土があるそうです。亀岡市の場合、調査もせずに新しい大事業に投入する税金があるのだから、お金がなくてファシリティマネジメントに取り組めないという言い訳は成り立ちませんね。

志村さんをはじめ、秦野市の皆様には大変お世話になりありがとうございました。

お忙しい中きめ細かな講演をしていただいたことにお応えするためにも、持ち帰った内容を亀岡市の取り組みに反映させてご報告できるようにしたいと思います。

(参考)

白書では、どの施設にどれぐらいのコスト(人件費 運営費 維持補修費)がかかっているのか、公共施設利用者へのアンケート結果から見えてくることなども全て掲載されています。
公共施設白書
こうして、すべてオープンにした上で、再配置計画が策定されています。
公共施設再配置計画

市民がともに考えるための材料がきちんと提示されていることが重要ですね。

ネット上に公開されている資料を製本したものがさきほどのコンビニで販売されているのですが、昨日は売り切れでした。

(補足)平成24年度3月議会 一般質問 (亀岡市議会 会議録より

◆(酒井安紀子議員) 一つ目、まず安全・安心のまちづくりについてお伺いします。
日本では1960年代から70年代に、公用施設や道路の整備が進められ、それが今、一斉に更新時期を迎えています。修繕したり建てかえたりするための費用が、今後急速に増加していくのですが、これは全国的な問題として認識され研究されているものです。ことしに入ってからも新聞記事等で多く紹介されているところです。その新聞記事の一部と全国的な公共施設の老朽化状況を示すグラフを資料として配布させていただきました。執行部には、質問の通告前にも見ていただいていたものでございます。
このグラフが示すように、京都府は建築後30年を経過した公共施設は59%もあります。これは1981年の建築基準法が改正される前の建物が59%もあるということです。これらは20年以内に大規模な改修や更新が必要になってきます。国全体で考えますと、老朽化する道路、橋や学校、上下水道等の更新費用は今後50年間に330兆円、年平均にしますと8兆円の更新投資が必要になるという研究もされています。現行の公共投資予算を年3割増やさなければならないという規模だと言われていますが、亀岡市ではどうなっているのでしょうか。
人口減少時代、税収は減少し、そして高齢化はさらに進んで扶助費が増大している状況です。それと同時にこの社会資本の老朽化問題に対応しなくてはいけないということになっています。わかっている問題に対しては早目の手当が必要だと思うのですが、現在、公有資産の管理は各所管課が行っていて、全体的な把握はされていないということでした。しかし、自治体経営には資産、老朽化の問題を俯瞰するためのデータが必要ではないでしょうか。市民生活を支える公有資産全体の長期的な更新費用が把握されていなければ、一体どのように亀岡市を経営していくというお考えなのでしょうか。所見をお聞かせください。
○副議長(明田昭) 栗山市長。
◎市長(栗山正隆) 酒井議員の御質問にお答えいたします。
自治体における公共施設の老朽化の問題は、どこの自治体も大変厳しい財政状況の中で、非常に大きな課題であると思っております。本市においてもその対策に本当に苦慮をしているところでございます。そのような中ではございますが、委員の申される施設のデータ整備の必要性は十分に認識しているところでございますが、それに十分対応できていないのが現状でございます。
○副議長(明田昭) 酒井安紀子議員。
◆(酒井安紀子議員) 必要性は認識しているけれども対応できていないということでしたが、それでは今後、当然対応していかれるのではないかと思うんですけれども、現在の市民生活は公有資産、先ほども申し上げました建物や上下水道施設、ごみ処理施設、火葬場、道路、橋、水道管等に支えられているんですけれども、この総量を現状維持できる見込みはあるのでしょうか。今でも財政状況が厳しいとおっしゃいましたけれども、今までどおり維持するにはやっぱり予算が必要ですし、そうなりますと、市民の負担を求めるんでしたら説明が必要になってきます。その説明のためには、根拠となる情報、データが必要になってくると思うんですね。
その反対に、今までどおり維持できる見込みがないのであったとしたら、今度は取捨選択が必要になってきます。そのためにも、市民が便利に使っている施設等を縮減するには説明がやっぱり必要ですし、その説明のためにはどちらにしても根拠となる情報が必要になってきます。なので、それ以前に維持できるかどうかを考えるための情報すらないという状況で、新しい施設をつくったり、そのためにインフラ整備をする前にやらないといけないことがあるのではないかと思います。このデータの整備すらできていないという状況、現状把握を先送りしている余裕があるんでしょうか。
公有資産の管理は各所管課が行っているというのは、つまり例えば市営住宅はまちづくり推進部が持っていて、文化センターは生涯学習部、そして図書館の施設や設備については教育委員会が持っているということだと思うんですけれども、施設の利用度や運営コスト、固定資産台帳のデータや耐震保全の履歴というものが、全部所管部門だけで持っている。大規模修繕が必要になったら、それぞれに予算要求を上げてきて、しかし一遍にできないから順番待ちになってしまっているわけですね。できるところからそれをやるですとか、補助金がつくところからやるという、今はそれでだましだましやっているわけですけれども、もし補助金がつかなくなったらどうするのかということや、順番待ちの列が今より長くなったら、待ち切れないということになったりすると思うのですが、それに対してはどういうふうに対処していくおつもりなのか、お聞かせください。
○副議長(明田昭) 栗山市長。
◎市長(栗山正隆) 確かに老朽化していく施設への対応は重要なものでございまして、ですが、思うに任せない状況もございます。ですから、今、御指摘のように、順番をよくきっちり決めて、本当に必要なものについては優先的に個々の特別財源等の確保もしながら対応していくということにせざるを得ないというところでございます。今後もそういうチェックをよくしながら、何とか重大な事態が起こらないように対応していきたいと思っております。
本当におっしゃるとおり、心配な部分の大きな部分でございます。できるだけ対応をしていきたいと思いますが、順番で優先順位をつけながら対応をしてまいります。ものによっては、そういう長寿命化の計画なんかもつくっている部分もございますが、全部がそういう対応はできていないので、できるだけそのように重大な事故が起こらないように対応をしていきたいと思っております。予算をよく確保しながら対応していかざるを得ないと思っております。
○副議長(明田昭) 酒井安紀子議員。
◆(酒井安紀子議員) 順番を決めて必要なものを優先的にというのは、今の状況で、データを把握していない状況で優先順位を決めるって、どうやってやっていくのかがちょっとわからないんですけれども、やはりこの見えている2、3年の間のことしかわからないのではないかというふうに思います。図書館のエアコンは例えば開館した昭和55年、1980年の5月からずっと30年以上も使い続けているそうなんですけれども、この数年間はききが悪くなって、夏は非常に暑い状態でした。効率も落ちて電気代も余計にかかっていた可能性もあるんですけれども、数年来そのままにされていました。もし24年度予算で直すにしても、この夏は暑いままではないかと思います。これが橋や建物の老朽化だったらどうかということを非常に心配です。耐用年数を過ぎていても、何とか使えるからといってそのまま使っていたら、地震が起きたときに崩れて市民の命を脅かすことになるかもしれませんし、そういうときに想定外だったという言いわけは成り立たないと思います。
昨年の大震災は天災なんですけれども、そのときに震度6以下で津波被害と関係ないところの建物も崩れまして、それで人命にかかわる事故が起きています。そこで施設管理者が業務上過失致死で訴えられているという事例もございます。亀岡市でも、全体的な把握をせず、今後もそのような運営を続けていくなら、市民の財産と命を守ることはできないと思います。そうならないために、この危機を訴えて対策を市民と一緒に考えようにも材料がないので、先ほどから順番を決めて必要なものはやっていきますというお答えだったんですが、なぜそのデータを、フォーマットが所管部門で持っているデータがばらばら、それすらそのまま放置していて、どうやって把握していけるのかということをお聞きしたいんですけれども、これはもうすぐに取りかかるべきではないんでしょうか。健全財政を行っていると先日答弁にありましたけれども、こういうものは隠れ債務だと思います。これを明らかにしないというのは非常に不健全な状態ではないでしょうか。市民の命と財産を守るために今すべき行動は何なのか、直ちに現状を把握して、将来の危機に備えて再配置計画を進めるべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(明田昭) 栗山市長。
◎市長(栗山正隆) この件も議員御指摘のとおりやと思っております。できるものなら議員御紹介のいろんな更新費用計算ソフトなんかも使いながら、企業会計で採用している減価償却法の方法によって、更新費用など財政調整基金にストックすることを計画をしたいところなんですが、御存じのように厳しい財政状況がそれを許さないというところでございます。できるだけそのようにしたいという気持ちはあるんですが、なかなか許さないと。ですから、本当に危険な状況になってきた、そういったことがチェックできたものについて対応していくことにしておりまして、今度も曽我部でしたかね、木橋の橋を、木でつくった橋について早急な対応をしていきたいと思っております。今の状況はそういう状況でございまして、長期的な展望に立った計画はつくれていないというところでございます。何とかそのようにしていきたいと思っておりますが、現状が許さないというところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○副議長(明田昭) 酒井安紀子議員。
◆(酒井安紀子議員) できるものならとおっしゃいましたけれども、できると思いますし、財政状況が厳しいからこそすぐに取りかからなくてはいけないということを申し上げているんですけれども、それに計算ソフト、無償で配布されているものをそちら、執行部のほうに情報としてお渡ししておりますし、そこにデータを入れていけばいいということであって、その対策するかどうかは、まずその全容を把握してからどういうふうにするかという計画を立てるのであって、まず厳しい財政状況はわかっているので、この問題を把握するために何らかの手を打つということを約束していただきたいのですが、それはいかがでしょうか。
○副議長(明田昭) 栗山市長。
◎市長(栗山正隆) 先ほども申しましたが、橋とか、それからごみの焼却施設とか修繕等、していかなければならないものについては対応しておりますが、今おっしゃったようなことにつきましても、できる限り考えてまいりたいと思います。
○副議長(明田昭) 酒井安紀子議員。
◆(酒井安紀子議員) 事前に資料をいろいろ提供しましたが、なかなか議論がかみ合わないので大変困っているところでございます。
私も昨年の今ごろ、行政の経理には減価償却がないことを知って驚いたんですね。では、資産がどれぐらい減耗しているかというのは、どういうふうに把握しているんだろうと不思議に思いました。そこで何らかの対策がされているのではないかと思っていたんですが、しかし把握すらしていない。その把握することについて、何かアクションを起こすかといってもそれもできないとおっしゃる。そのことは非常にびっくりしました。まだ、私も勉強を進めているところですので、またさらに研究して、今後も質問していきたいと思いますので、このテーマにつきましてはともに情報交換していけたらと思います。
では、次の質問にいきます。

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